今のご時世、隣にどんな人が住んでいるか知らないのも当たり前ですよね。
挨拶くらいの関係だったり、挨拶すらなかったり、世間話をしたり、、
表では普通にしていても裏では何をしているかわからない人も世の中にはいると思います。
あなたは隣人のことをどれくらい知っていますか?
本日は織守きょうや氏著作『隣人を疑うなかれ』を紹介します。
織守きょうや氏は1980年ロンドン生まれ。
2013年、講談社BOX新人賞Powersを受賞した『霊感検定』でデビュー。
15年には日本ホラー大賞読者賞を受賞した『記憶屋』は映画化され、シリーズ累計60万部を超えるベストセラーとなりました。
著書に『花束は毒』『花村遠野の恋と故意』『辻宮朔の心裏と真理』『キスに煙』などがあります。
『キスに煙』の紹介記事はこちらをクリック。
当ブログでは、なるべくネタバレの無いようにあらすじ・感想を書いております。
あらすじ
連続殺人、かもしれない。
羊の群れに狼が潜んでいるなら、
気づいた誰かがどうにかしなければ、狩りは終わらないー。
自宅マンションに殺人犯が住んでいる?
隣人の失踪をきっかけに不穏な疑念を抱いたパート主婦の今立晶は、事件ライターの弟とともにマンションの住人たちを調べることに。
死体はない、証拠もない、だけど不安が拭えない。
ある夜、帰宅途中の晶のあとを尾けてきた黒パーカの男は誰なのか?
平凡な日常に生じた一点の黒い染みが、じわじわと広がって心をかき乱す、傑作ミステリー長編。
注目ポイント
東京、千葉、神奈川で発見された女性の遺体
関東圏で起きた3つの殺人事件。被害者は共通して若い女性。
漫画家の土屋萌亜は、報道されていた神奈川で発見された被害者の顔写真に見覚えがあった。
なんと彼女は、事件の1ヶ月ほど前に土屋が住む近所のコンビニや自宅の隣のマンションを出入りしていたのだ。
土屋の隣人で事件ライターの小崎涼太やその姉・今立晶らとマンションの防犯カメラの映像を調べようとするが、、
目撃者が失踪
事件について調べ始めてすぐ、土屋が失踪してしまう。
被害者を目撃していることが犯人にバレてしまい、口封じのために連れ攫われたのではないかと考える涼太。
夫が警察官でマンションの理事長である加納彩の協力もあり、調べを続ける涼太と晶。
そんな中、晶はマンションのゴミ捨て場に土屋の所持品が落ちていることに気づく。
マンションの住人が事件に関係しているのか、、
マンションを出入りする男
マンションの周辺で見かける黒いパーカにフードを被り、マスクをした中肉中背の男。
マンションの住人のようだが果たして事件に関係しているのか。
そして、事件ライターの涼太や警察の調べによって過去に起きた事件との関連が明かされる。
果たして事件の真相は!?
本当にマンションの住人の中に犯人がいるのか!?
感想
あなたは隣人のことをどれくらい知っていますか?
この言葉に尽きると思いました。
顔も知らない、顔は知っているけどどんな人かは知らない。
そんなはずはないと思っていても何かあるかもしれない。恐怖が拭いきれない。
おそらく近隣で不穏なことが起きている。でも、証拠がない。
推理、推測で不安と恐怖が拭いきれないまま目隠しをされた状態で物語が進んでいくゾクゾク感がたまりませんでした。
知っているつもりで、本当は何も知らない。
隣人だけでなく、友人も、家族も同じかもしれない。
知っているはず、と自分では思っている分、親しい間柄の方がむしろ、厄介かもしれない。
一番近くにいる相手だからこそ、知らない顔を見てしまったとき、それが望む姿ではなかったとき、それ以上は知りたくないと目を逸らしてしまうー見なかったことにしてしまう。(引用)
チャプターごとにマンション住民の短めの手記が入ります。そこで本当の顔が見え隠れします。
物語の中では平然としていたのに本当はそんなことを思っていたのかと。
相手が何を考えているかなんてわかるはずがありません。
だからこそ、知っているつもりが一番怖いのだと思い知らされました。
『花束は毒』でもそうでしたが、何か不穏なことが起きていて怪しい影もあるのに、その実態が掴めないまま物語が進んでいく感じがたまりませんし、緻密な伏線や叙述トリック、すべてを回収し切るラストの怒涛の展開には脱帽しかありませんでした。
こんな人にオススメ
・王道ミステリーが好き
・近所付き合いがあまりない
・花束は毒が好き
事件が起こり、調べながら怪しい人物に目星をつけ、真相がわかっていくという王道ミステリー調に物語が進んでいき、読みやすい作品となっています。
ちなみに、私が怪しいと感じていた人物は全く的外れで、むしろ最もお気楽な人物でした。(笑)
近くで不穏な影があり、実態が掴めないまま真相に近づいていく感じは『花束は毒』とも通ずるものがあり、最後には意外な展開が待ち受けているので、好きな方には刺さると思います。
読んだ後にはあなたもきっと隣人を疑いたくなると思います。
『隣人を疑うなかれ』ぜひ読んでみてください。