田舎暮らしの30代看護師
自己満
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ミステリー

『真夜中法律事務所』五十嵐律人

 

みなさんの中に霊感がある方はいますか?

視える人はいるかもしれませんが、死者とコミュニケーションが取れる人はおそらくいないでしょう。

ちなみに私は霊感はまったくありませんが、もし、死者の魂がすぐそこにあって言葉を交わせるとしたら、幼い頃に亡くなった父と話してみたいとは思いますね。

今回紹介するのは五十嵐律人さん著作『真夜中法律事務所』です。

著者の五十嵐律人さんは、1990年岩手県生まれ。

東北大学法学部卒業、同大学法科大学院修了。

弁護士(ベリーベスト法律事務所、第一東京弁護士会)。

『法廷遊戯』で第62回メフィスト賞を受賞しデビュー。

他の著書に、『不可逆少年』『原因において自由な物語』『六法推理』『幻告』『魔女の原罪』があります。

当ブログでは、五十嵐律人さんの他の著書である『不可逆少年』『魔女の原罪』の紹介記事も書いております。

『不可逆少年』の紹介記事のリンクはこちらをクリック。

『魔女の原罪』の紹介記事のリンクはこちらをクリック。

 

あらすじ

 

暗い夜のことだった。

検事である僕・印藤累は、夜道に立ち尽くす霊の存在に気づく。

同時に、僕の前に現れたのは「案内人」を自称する青年・架橋昴。

訳あって現世に縛られた幽霊を救うため、ある場所に導いているという。

それこそが「深夜法律事務所」一変わり者の弁護士・深夜朱莉が真夜中にだけ、幽霊のためだけに営業する、死者と生者をつなぐ場所だった。

 

注目ポイント

死者が視える目

検事の印藤、弁護士の深夜はともに死者が視える。

そして、丑三つ時深夜法律事務所にて、現世に残る霊と言葉を交わし、死の真相を探る。

そもそも、なぜ視えるようになってしまったのか、、

トリガーは冤罪

なぜ、成仏できずに現世で縛られてしまうのか。

そこには、ある条件が存在する。

それは冤罪。

真犯人が裁かれずにいると、死者は現世で留まってしまうのだ。

印藤と深夜は真犯人にたどり着くことができるのか、、

交錯する事件

印藤が担当した事件は未解決のままだった。真相は他にも存在する、、

そして、検察の信用を失墜させることなった過去の事件。

すべてが繋がったとき、一つの真実が浮かび上がる。

それぞれの正義が錯綜する中、陰謀を止められるか⁉︎

 

当ブログでは、なるべくネタバレの無いようあらすじ・感想を書いております。

 

 

感想

 

心霊や成仏、法律、復讐といった要素をうまくまとめ上げ、ミステリーに落とし込んでいました。

霊が視える法律家という、若干オカルト要素があるように思えますが、決して無理があるような設定ではなく、現実離れしすぎず、いい塩梅だったと思います。

日本の刑事裁判における有罪率は99.9%と言われていますが、起訴率はなんと40%。

罪の重さや初犯かどうか、示談が成立しているかなどにもよりますが、この数字の意味するところは、確実に有罪判決が出るであろう事件にしか起訴しないということ。

しかし、どんなに徹底した捜査をもってしても、冤罪は起こりうるもの。

そして、それは同時に被疑者、被害者とその家族の人生を閉ざしてしまうことになります。

だから、裁判官は検察や警察の捜査をもとに慎重かつ丁寧に客観的事実のもと裁きを下します。

この作品は、心霊や復讐といった一見するとダークに感じる要素を法律家としての矜持や正義、そして冤罪を招いてしまってことにより被害者や家族、被疑者が直面するやるせなさや葛藤をそれぞれに焦点を当てて描かれています。

検事、弁護士、そして裁判官がそれぞれの正義のもと複数の事件に挑み、それが一つに交わった時、待ち受ける結末には圧巻でした。

メッセージ性も強く、リーガルミステリーならではの法律用語もわかりやすく噛み砕いて書かれているので非常に読みやすかったです。

 

こんな人にオススメ

 

・リーガルミステリーが好き
・心霊体験をしたことがある
・死者と話すことに興味がある

心霊が視える法律家の矜持、それぞれが抱く正義、被疑者や被害者の思いなどを描いたミステリー作品になっています。

五十嵐律人さん著作『真夜中法律事務所』ぜひ読んでみてください。