田舎暮らしの30代看護師
自己満
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ミステリー

『変な家』雨穴 不可解な間取りの正体

 

突然ですがみなさん、謎解きは好きですか?

私は小学校の卒業文集の将来の夢の欄に建築士と書いていました。当時から、図形や模型などを見るのが好きで、大人になった今もクイズ番組のビジュアル問題などを解くのが好きです。

というわけで今回は視覚的ミステリー・雨穴氏著作「変な家」について紹介していこうと思います。

当ブログでは、雨穴氏の他の作品として「変な絵」も紹介しております。紹介記事のリンクはこちらをクリック。

当ブログでは、なるべくネタバレしないようにあらすじ・感想について書いております。

 

 

あらすじ

一軒家を買う決心をしたという知人からとある物件について相談を受ける。その物件は閑静な住宅街に建つ二階建て。駅近で自然も多く、築年数は浅い。内装も良く知人夫婦ともども好感を抱いたという。

しかし、間取りをよく見てみると不可解な点に気づく。それは一階にある”謎の空間”。
なんとなく気味が悪いので、購入するか迷っているという。

ホラーやミステリーの愛好家であり、設計士の栗原に相談を持ちかける。
すると”謎の空間”のみならず、不可解な点が次々と見つかってゆく、、

主要な登場人物

・筆者 〜 物語の語り手。不可解な物件について相談を受ける。

・栗原 〜 大手建築事務所の設計士。ホラーやミステリー愛好家。

・宮江柚希 〜 不可解な間取りの家に心当たりがあるという人物。

感想

 

奇妙な間取りに隠された謎に迫り、考察するというストーリー。会話形式の小説なので読みやすく、間取り図などの図面を作中に何度も載せてくれているので、冒頭に戻ったりすることなくサクサクと読めてしまいました。

家というのは衣食住とあるように人間の生活に欠かせないものです。外観はもちろん、内観にも設計者・建築者はあらゆる意図や願いを込める。居住者はそこに価値や喜びを見出すものもいれば、そうでないものもいる。あらゆる家と人が存在する中で、その家の外観だけでそこに住んでる人の人物像、ステータスなどを想像してしまう。恐ろしいのは、それは外観から想像される自分の都合のいいものにすぎず、家の中で行われていること、人の内面は様々に姿、形を変化させるということ。
そして、物語が二転三転していく中で、不穏で悲しい真実が明らかになっていきます。

この作品では、人と家という切っても切り離せない密接な二つをあらゆる面から考察することができます。作者の世界観、間取り図の視覚的な謎と次々と明らかになる真実にページをめくる手が止まらず、最高に楽しい時間を過ごすことができました。

こんな人にオススメ

 

・一風変わった小説が読みたい
・図面や間取りから考察するのが好き
・歴史や風習から紐解くのが好き

この作品は会話形式で語れられ、随所に図や間取りの解説が入る視覚的ミステリーとなっています。
読者のみなさんは感性を膨らませ、あらゆる方向から家とそこに住む人について考察していただきたいです。
また、みなさんの住む家によっては歴史や伝統、習わしがあるかもしれません。この本を読み終えた後、そういったものについて一考してみても良いかもしれません。ミステリー好きにはたまらない作品となっています。