2021年7月に『変な家』が発売されて、はや2年が経ちました。
当時はそれまでと一風変わった視覚ミステリーに衝撃を受けました。
そして、2024年3月の映画公開も決まり、今、波に乗る新進気鋭の作家さんが送る第2弾が早くも発表されました。
今回は雨穴氏著作『変な家2』について紹介します。
雨穴氏はインターネットを中心に活動するホラー作家であり、ウェブライター、youtuberとしても活動しています。
他の著作として、『変な絵』『変な家』などがあります。
また、当ブログでも『変な絵』と『変な家』ともに紹介しております。
↑タイトルをクリックで紹介記事のリンクへ飛びます。
当ブログでは、なるべくネタバレの無いようにあらすじ・感想を書いております。
あらすじ
以前、書いた『変な家』は反響を呼び、その後、家に関する情報が寄せられるようになった。
情報の中には、行き先のない廊下、逃げられないアパートなど「変な家」は全国にいくつも存在することがわかった。
それら数ある「変な家」から11軒に関する調査資料を収録した。
一見、それぞれの資料は無関係に見えるかもしれない。
しかし、注意深く読むと一つのつながりが浮かび上がってくる。
果たしてそのつながりとは?
間取りから見えてくる真実を推理しながら読んでいただきたい。
注目ポイント
11の調査資料
行き先のない廊下、闇をはぐくむ家、林の中の水車小屋、ネズミ捕りの家、そこにあった事故物件、再生の館、おじさんの家、部屋をつなぐ電話、殺人現場へ向かう足音、逃げられないアパート、一度だけ現れた部屋。
11軒にまつわる物語がまるで短編集のようで読み応えがあります。
要所で図面を提示しているのでわかりやすさ、読みやすさもあります。
推理しながら読み進める
間取りや図面は決して難解なものではなく、よく見てみると確かにおかしいというものばかり。
調査資料が少しの謎を残したまま終了したり、前に出てきたワードが再び登場したりと謎解き心をくすぐるような描かれ方をしており、非常に推理しやすいです。
ラストに裏切られる!?解決編
前回にも登場した設計士の栗原氏が再び今作にも登場します。
11の資料をもとに推理をしてくれます。
一見、関係のなさそうな11軒の「変な家」
そこから紡がれる驚愕の真相、、
あなたもきっと裏切られます!!
感想
各章の冒頭に提示された間取り図からシナリオが膨らんでいく過程が、この作品の醍醐味かと思います。
間取り図は決して難解なものではなく、よく見れば確かに違和感を覚えるものばかり。各登場人物の証言も繋がるような繋がらないような不可解な謎ばかり。
違和感を拭いきれないまま各章の話が終わってしまい、どんどんと次の謎が欲しくなる。
読書欲を掻き立てるような構成と推理しやすく解けそうに見えて、真相を悟らせない駆け引きがちょうど良くて、楽しく読むことができました。
この作品を読んで感じたのは、人が家を造り、家により造られるのもまた人だということ。
人が無意味な廊下に意味を見出し、存在理由のない空間への扉を開き、闇を育む部屋、住人を害する罠を作る。
そして、家によって人格や概念、価値観が作られてしまう。
著者の雨穴氏はホラー作家ですが、オカルトや心霊現象ではなく現実になさそうでありそうなギリギリのラインを攻めてくるので、読者をその世界観に引き込むような設定や描写力が秀逸だと感じました。
そして、ラストに待ち受ける答え合わせには驚愕しました。若干の無理矢理感はありましたが、あれだけの謎を残しつつ、最後に綺麗に回収し切る構成力は圧巻でした。
こんな人にオススメ
・推理や謎解きが好き
・ミステリー初心者
・『変な家』が好き
『変な家』を読んでいなくても十分楽しめますが、この作品から読み始めたら『変な家』を読みたくなると思います。
そして、『変な家』を読んだことがある方なら『変な家2』も絶対読みたくなる作品だと思います。
ミステリーをよく読む方も初心者の方も幅広い層に刺さる作品だと思います。
『変な家2』ぜひ読んでみてください。